面接で高校生の本音を引き出す質問リスト — NG質問の次に知りたいこと
目次
はじめに
高卒採用の面接は原則1回です(複数回行う場合は求人票への明記が必要とされています。労働局の案内)。生徒と向き合えるのは実質その1回だけ。だからこそ「聞いてはいけないこと」を避けるだけでは足りません。生徒が答えられる質問と、見たい観点をあらかじめ整理して持ち込む。それだけで面接の中身が変わりやすくなります。
なぜ「1回の面接」の設計が要るのか
2027年3月卒(令和9年3月卒)の選考は9月16日以降に実施します(厚生労働省の発表・2026年2月)。香川県では「9月30日までは、一人一社のみの応募・推薦とし、10月1日以降は、複数応募・推薦を可能とする」とされています(令和8年度香川県高等学校就職問題検討会議 申し合わせ事項)。生徒にとって9月中の応募先は1社。企業の側でも、面接の比重が高くなりやすい選考です。
手元の情報も限られます。応募書類は全国高等学校統一応募書類(2026年3月新規高等学校卒業者から新様式)で、書ける項目は決まっています。その生徒がどんな場面でどう動く人なのかは、書類だけでは十分に読み取りにくい。書類で補いきれない部分を面接で埋めるのが、高卒採用の面接の役割です。
香川県内でお手伝いしている企業さんを見ていると、面接官が人事の専任ではなく現場の責任者や社長というケースが多くあります。面接の経験を毎年積み上げにくい分、質問を紙にして持ち込むやり方が現実的です。
聞いてはいけない事項は、厚生労働省「公正な採用選考の基本」が「本人に責任のない事項」(本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境)と「本来自由であるべき事項」(宗教、支持政党、人生観、尊敬する人物、思想など)としてまとめています。具体例と言い換えは別のコラム「高校生の面接で聞いていいこと・NGなこと」で扱っています。
具体策1: 抽象的な質問を、事実を尋ねる質問に置き換える
「志望動機を教えてください」「あなたの長所と短所は」。これは練習してきた答えを再生する時間になりやすい質問です。高校生は進路指導で想定問答を準備してきます。準備を否定する必要はありませんが、それだけでは判断材料になりません。抽象語を事実の質問に分解します。
– 「志望動機」→「当社を知ったのはいつ、何を見てですか」
– 「長所」→「まわりの人からよく頼まれることはありますか」
– 「短所」→「やってみて難しかったことを1つ教えてください」
事実を聞かれると、生徒は準備した答えから離れて自分の言葉になります。
具体策2: 高校生が答えられる土俵に降ろす
中途採用の面接をそのまま持ち込むと、質問が社会人経験を前提にした形になりがちです。「キャリアプランは」「5年後どうなっていたいですか」。多くの高校生は答えを持っておらず、緊張だけが残ります。学校生活の中の事実に置き換えます。
– 「部活動や委員会で、自分から言い出して始めたことはありますか」
– 「授業や実習で、時間をかけて仕上げたものを教えてください」
– 「授業や実習でわからないことがあったとき、先生や周りの人にどうやって確認しますか」
最後の質問は入社後の伸び方を見るのに向いています。わからないことをどう確認できる人かは、現場に入ってから効いてきます。
具体策3: 最初の3分と、「わからない」の受け皿を用意する
座ってすぐ志望動機を聞かず、答えやすい質問から始めます。「今日は迷わずお越しになれましたか」「受付の案内は分かりにくくありませんでしたか」。短く事実を答える質問を2つ挟むだけで、声の大きさが変わりやすくなります。居住地や家庭の事情に話が広がる質問(通学の交通手段・送迎など)は、たとえ雑談でも避けてください。
そのうえで面接官から伝えておきます。「答えにくい質問は、少し考えてもらって構いません」「わからないときは、わからないと言って大丈夫です」。この一言があると、後半の受け答えが変わりやすくなります。沈黙を待てるかどうかも、面接官の準備のうちです。
そのまま使える質問リスト
質問 / ねらい の順に記載しています。
1. 今日は迷わずお越しになれましたか — 緊張をほぐす(居住地・交通手段には踏み込まない)
2. 当社を知ったのはいつ、何を見てですか — 志望動機の事実確認
3. 職場見学で印象に残った場面はどこですか — 見学の受け止め方
4. 部活動や委員会で、自分から言い出して始めたことはありますか — 主体性を事実で見る
5. 授業・実習・係活動などで、やり方を変えたほうがいいと思ったことはありますか — 改善への目線
6. 授業や実習で、時間をかけて仕上げたものを教えてください — 継続力・関心の方向
7. やってみて難しかったことを1つ教えてください — 失敗の受け止め方
8. まわりの人からよく頼まれることはありますか — 他者から見た強み
9. 授業や実習でわからないとき、どうやって確認しますか — 入社後の伸び方
10. 入社したら、最初に覚えたいことは何ですか — 仕事への具体的な関心
11. 聞いておきたいことはありますか — 不安の把握。ここで出た質問は内定後のフォローに使える
面接前日のチェックリスト
□ 面接官全員で、聞いてはいけない事項と評価の観点を確認した
□ 最初の3分で使う「答えやすい質問」を2つ決めた
□ 抽象的な質問を事実の質問に置き換えた
□ 「わからないと言って大丈夫」と伝える役割を決めた
□ 質問の担当を分けた(1人が話し続けない)
□ 選考が2回以上になる場合、求人票に明記されているか確認した
□ 生徒からの質問に答える時間を、終了5分前に確保した
□ 採否結果を学校へ通知する担当と時期を決めた
よくある質問
Q. 高卒採用の面接は何回まで行ってよいですか。
A. 原則として選考試験(面接)は1回とされ、複数回行う場合は求人票に明記が必要とされています(労働局の案内)。回数を増やす予定があるなら、求人票を出す段階で記載しておく必要があります。
Q. 志望動機を聞くこと自体は問題ありませんか。
A. 問題ありません。避けるべきなのは、本籍・家族・住宅状況・生活環境や、宗教・支持政党・人生観など本人の適性や能力に関係のない事項です(厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。志望動機は「いつ・何を見て知ったか」と事実の形で聞くと、生徒も答えやすくなります。
Q. 高校生が緊張して答えられないときはどうすればよいですか。
A. 質問を言い換えて、事実を答える形に落とすと答えやすくなります。「どう思いましたか」より「どこを見ましたか」のほうが答えられます。考える時間を待つこと、わからないと言ってよいと最初に伝えておくことも有効です。
Q. 面接の結果はどのように伝えればよいですか。
A. 採否結果は速やかに通知することとされ、学校を通じて伝えるのが基本です(労働局の案内)。本人への直接の連絡をどうするかは、求人票の記載内容や学校・管轄ハローワークの案内に従ってください。不採用の場合は応募書類を学校に必ず返却します。連絡の段取りは面接の前に決めておくと滞りません。