入社後の最初の3か月を、10月のうちに決めておく — 高卒内定者の受け入れ準備
目次
10月に決めるのは「配属先」「教育担当」「最初の3か月の予定」の3つ
令和9年3月卒の高校生の選考・採用内定は9月16日に始まり、2027年春に入社する内定者が見えてきた会社もあるのではないでしょうか。内定から入社までの約半年は、内定者と連絡を取り続ける期間であると同時に、受け入れる側が準備できる期間でもあります。
この時期に決めておきたいのは、配属先・教育担当・最初の3か月の予定の3つです。細部まで固める必要はありません。枠組みだけでも10月のうちに決めておくと、年明け以降に内定者へ送る入社案内や事前連絡にも反映できますし、4月の準備にも余裕が生まれます。
なぜ10月なのか
理由は2つあります。
1つ目は、4月は受け入れる現場がいちばん立て込む時期だということです。新年度の業務の切り替えと新人の受け入れが重なるため、4月に入ってから配属先や教育担当を決め始めると、準備が後回しになりがちです。
2つ目は、入社後の最初の段取りは、会社の側で事前に整えられる部分だということです。厚生労働省が公表した新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)では、新規高卒就職者の就職後3年以内の離職率は37.9%でした。事業所規模別に見ると、たとえば5人未満は63.2%、5〜29人は54.6%、30〜99人は45.2%、1,000人以上は26.3%で、全体として規模が小さいほど高い傾向があります。
ただし、これは全国の数字で、自社にそのまま当てはまるとは限りません。離職の理由は人によってさまざまで、この数字だけで原因を特定することもできません。それでも、「入社したら誰に何を教わり、いつ何を任されるのか」を会社があらかじめ決めておくことは、どの規模の会社でも今から取りかかれる準備です。
具体策1: 配属先は「仮」でもよいので決めておく
最初に決めるのは配属先です。職場見学や面接で本人が見た職場・聞いた仕事と、実際の配属先が大きく違うと、本人も戸惑います。
– 見学・面接で説明した仕事と、配属予定の仕事が合っているか確かめる
– 研修後に配属が変わる可能性があるなら、その予定も含めて決めておく
– 決まった配属先は、入社案内で本人に伝えられる形にしておく
この時点では「仮」で構いません。入社後に変わる可能性がある場合は、変わりうることも含めて伝えるのが誠実です。
具体策2: 教育担当を決め、その人の仕事量を先に調整する
次に、入社後に仕事を教える主担当を決めます。教育全体を1人に抱えさせるのではなく、新人が「まず誰に聞けばよいか」を明確にするためです。あわせて、仕事以外のことを気軽に相談できる相手を別に決めておくと、新人が一人で抱え込みにくくなります。
– 仕事を教える主担当を1人決める
– 困りごとを相談できる相手(年齢の近い先輩など)を別に決める
– 教育担当の4〜6月の業務量を、今のうちに調整しておく
香川県内の中小企業でも、教育担当が自分の持ち場と掛け持ちになるケースはあります。教える時間を取れないまま4月を迎えると、新人が「聞きたいけれど聞けない」と感じる場面が生まれやすくなります。担当者を決めるだけでなく、担当者が教える時間を確保するところまでを10月の宿題にします。
具体策3: 最初の3か月の予定を「週単位」で書き出す
最後に、入社後の3か月で何を覚えてもらうかを、週単位で書き出します。
– 1週目: 会社のルール、職場の人、安全に関すること
– 1か月目まで: 毎日の基本業務を一通り経験する
– 3か月目まで: 任せる仕事の範囲を少しずつ広げる
あわせて、面談の日を先に予定に入れておくのがおすすめです。1か月目と3か月目など、区切りの時期に本人と話す機会をあらかじめ決めておけば、忙しさで先送りされにくくなります。
ここまでを10月に決めておくと、年明け以降の内定者への連絡で「入社後の最初の1週間はこう過ごします」と具体的に伝えられます。内定者への連絡の組み立て方は、別稿「高卒内定者の辞退を防ぐ連絡設計」で扱っています。
10月の受け入れ準備チェックリスト
□来春の入社予定者の人数を社内で確定した
□配属先を(仮でも)決め、見学・面接で説明した内容と合っているか確かめた
□仕事を教える主担当を1人決めた
□仕事以外の相談相手を別に決めた
□教育担当の4〜6月の業務量を調整した
□最初の3か月の予定を週単位で書き出した
□1か月目・3か月目などの面談日を予定に入れた
□決めた内容を、年明けの入社案内に書ける形にまとめた
よくある質問
Q. 高卒で就職した人の3年以内の離職率はどのくらいですか?
A. 厚生労働省が令和7年10月24日に公表した新規学卒就職者の離職状況(本稿執筆時点の最新)では、令和4年3月に高校を卒業して就職した人の就職後3年以内の離職率は37.9%でした。事業所規模別では、たとえば5人未満が63.2%、1,000人以上が26.3%で、全体として規模が小さいほど高い傾向があります。いずれも全国の数字です。
Q. 高卒内定者の受け入れ準備は、いつから始めればよいですか?
A. 令和9年3月卒の場合、選考・採用内定は9月16日以降に始まります。入社予定者が見えてきたら、10月から始めるのがおすすめです。4月は受け入れる現場が立て込むため、配属先・教育担当・最初の3か月の予定の枠組みだけでも早めに決めておくと、年明け以降の入社案内にも反映できます。
Q. 高卒新入社員の教育担当は、1人に任せてよいですか?
A. 教育全体を1人に抱えさせるという意味ではありません。仕事を教える主担当を決めておくと、新人がまず誰に聞けばよいか迷わずに済みます。そのうえで、仕事以外の困りごとを相談できる相手を別に決めておくと、一人で抱え込みにくくなります。教育担当の業務量も、入社前に調整しておくことが大切です。