【事例付】新入社員の早期退職を防ぐには
新しく採用した人材の早期退職は頭の痛い問題です。なぜ続かない? なぜすぐに辞める? 辞める側の目線を基に対応策を考えましょう。
1)悩ましい高卒就職者の低い定着率
「高校新卒の社員を採用しても、すぐに辞めてしまって…」
そういった悩みを抱えている企業の経営は全国でどれほどの数に膨れ上がるでしょうか?
「仕事が面白くなかったんだろうか?」
「人間関係に問題があったんだろうか?」
「もっと待遇のいい仕事が見つかったんだろうか?」
悩みは尽きませんよね。
実際、厚生労働省が2022年10月に発表した「新規学卒就職者の離職状況(2019年3月卒業者の状況)」では…
高校新卒社員の3年以内の離職率は35.6%ですが、1年目での離職が16.3%に達しているのに対して、
2年目10.1%、3年目9.6%と、少しずつですが減少しているのがわかります。
つまり「高校新卒社員の定着」の要点は、「1年目の新入社員が抱いた『辞めたい』という感情をどれだけ早く察知し、対処できるか」ということに尽きます。
それを速やかに行うことで、離職率を半分にしたり4分の1に減らせることができるかもしれません。
「1年目社員の定着」に向けたサポートとケアこそが、企業が成長を遂げるために決して無視できない重要ポイントなのです。
2)早期退職を防ぐ5つのポイント
新入社員の離職は、キャリアを積んだ社員の退職とはまったく異なります。
新入社員がすぐに会社を辞める原因と考えられているのが…
・職場に馴染めなかった。人間関係が苦痛だった。
・想像していた仕事と違った。思ったよりもきつかった。
・自分にできるか不安になった。自分に合っていないと感じた。
これらはいつの時代でも変わらない課題だと言えます。
では、それを防ぐための手立てをご紹介しましょう。
①教育プランの提示
「新人」としての教育スケジュールを明確に提示すると、新入社員は自分のおかれている状況をはっきりと理解できます。
たとえ「仕事が楽しくない」と感じても、教育スケジュールを見て「次の仕事は面白いかもしれない」と思うだけで、少し冷静になれるかもしれません。
また、指導する先輩社員と気が合わない(これは防ぐことはできないと諦める方が得策です)と感じたとしても、ローテーションの仕組みを伝えていれば、これも気持ちを立て直す要因になるでしょう。
②成長度合いのビジュアル化
習得目標の知識やスキルを一覧にまとめ、達成したものに印を付けていきます。
「あとどれくらい覚えれば一人前になれるのか」「自分がどれだけ成長したのか」を一目で納得することができます。
③相談役の存在
新入社員が「気負いすることなく」相談できる社員を会社側で設定しましょう。
「業務の一環としてコミュニケーションをとる」機会を設けるのです。
可能であればマン・ツー・マンが望ましいです。
例えば相談役は別部署の人に任せるのも手です。そうすることで(新人社員が)利害関係を感じなくて済む相談をしやすくなります。
④一緒にランチをしながら
新人を囲むランチミーティングも効果が高いです。
夜の飲み会となると重荷に感じる人が多いので、ランチの方がお勧めです。
先輩の話を聞けるのはもちろんのこと、職場で孤立するのを防ぐ効果が望めます。
⑤「叱る」と「褒める」
時代と共に家庭環境・親子関係・学校などの教育現場が変化して、
最近の若い人は叱られ慣れていない、あるいは叱られた経験のない方も大勢いらっしゃいます。
すると、「叱られた」というショックが、叱る側の想像を超えて相手の心に深く大きく響いてしまうおそれがあります。
もっと言えば、こちらが叱ったつもりでないのに、向こうは「叱られた」と感じ取ってしまう場合だってあります。
「これ、前にも言わなかったっけ?」
先輩にとっては素朴な疑問が口をついて出ただけだとしても、これで「叱られた」と捉えてしまう人もいます。
気を遣い過ぎる必要はありませんが、「君は会社にとって必要な人材だ」「君の存在を我々はありがたいと思っている」
という思いを伝えることが重要です。
毎日のちょっとした会話は何気ない行動でも、正しいことなら褒める、変化に気づいてさりげなくフォローする。
そんなささいなことが、新人が会社に溶け込んでいく第一歩になります。
3)1年で離脱させないユニークなアイデア
面白い事例がありますのでご紹介します。
「新入社員」の肩書を1年後にはずす
自動車免許取得1年目は、いわゆる「初心者マーク」を車両に掲示しないといけません。
それを着けていると、周囲からは特別扱いされ、本人も「私は新人」という意識を(いい意味で)持ち続けることができます。
そして1年が経過した時、いよいよ初心者マークをはずすことで「もう新人ではない」と自覚し、周囲もそのように扱うようになります。
これを会社で取り入れて離職対策を成功させている会社があります。
その会社では、入社か1年が経った春、後輩の新入社員を迎えるのと同時に、「新入社員」の肩書を捨させています。
わかりやすく行事化して、入社後1年経過した社員全員に「あなたがたはもう新入社員ではありません。すでに会社の重要な戦力です」と『新入社員からの卒業』を宣言するのです。
そしてその姿を新入社員にも見せ、「皆さんも1年後に全員揃って新入社員を卒業できるようにがんばりましょう!」と呼びかけます。
全体意識・グループ意識を芽生えさせ、脱落者が出そうになっても同期がワンチームとなって支え合い、助け合い、励まし合うことで、定着率のアップが望めるようになります。
4)まとめ
いかがだったでしょうか?
かがわ採用ナビでは、香川県内の企業の採用サポートを実施しています。
・どんなふうに採用活動をすればよいか分からない
・採用戦略をしっかり考えたい
など、些細なお悩みでも大歓迎ですので、お気軽にお問い合わせください。